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2019年 03月 22日

新要素「モメンタム」の追加で混沌の度合いが強まる

新要素「モメンタム」の追加で混沌の度合いが強まる_e0355790_08225848.jpgエリア=インパルス・システムのゲームをつくり続けているマイク・リネラ氏の最新作が『Counter-Attack: The Battle of Arras 1940』。もともと市街戦から始まったエリア=インパルス・システムですが、そのシステムで機動戦を再現した発想の転換が高く評価されています。日本版も出版された『バトルアクス』や『ガザラ』などがその好例。本作でもチャネル海岸に向かって前進を続けるドイツ軍自動車化部隊に対する連合軍機甲部隊の反撃という機動戦を楽しめるようになっています。

従来のエリア=インパルス・システムのゲームは、先攻が1アクションを行ってから後攻が1アクションを行います。1回のアクションでは突撃、砲爆撃、パス、のいずれかのインパルスを実行できます。突撃インパルスなら自軍ユニットがいる1エリアを選び、そこにいる未行動のユニットを用いて移動/攻撃を行う。砲爆撃なら自軍砲兵や空爆マーカーを使って敵ユニットがいる1エリアに対して砲爆撃を行う。そしてパスなら何もしませんが、両プレイヤーが続けてパスするとターンが終了します。

本作では新たに「モメンタム」の要素が加わりました。これは必ず両者が1回ずつ交互にアクションするのではなく、攻撃側、即ちモメンタムを持つ側が連続してアクションするかもしれないというルールです。第1インパルスは常にモメンタムを持つプレイヤーがアクションできますが、第2インパルス以降の各インパルス開始時にダイスを1個振り、今のインパルス数未満の目が出ると、モメンタムを失い、相手プレイヤーが攻撃側になるというシステムです。インパルス数に関係なく6の目が出続けるとモメンタムを保持できます。

これにより、モメンタムがあると思って攻勢を続けていると突如モメンタムを失って敵のインパルスが始まるといった、予測できない事態が発生します。後続部隊で強化するつもりだったスピアヘッドが、行動済み面で敵の反撃に遭う……ということになるわけです。

また、お馴染みのアドバンテージ(主導権)マーカーもこのモメンタムを奪うのに使用できます。アドバンテージを用いると、それまでに行動済み面になっていた両軍のユニット全てが未行動面となり、アドバンテージを使ったプレイヤーが攻撃側となって第1インパルスを開始します(!)。使いどころを間違えなければ連続して5-6回のアクションが期待でき、状況を一変させる力を持ちます。

新要素「モメンタム」の追加で混沌の度合いが強まる_e0355790_08401522.jpg新要素「モメンタム」の追加で混沌の度合いが強まる_e0355790_08402182.jpgこの他のルールは一般的なエリア=インパルス・システムに準じるもの。アラスの戦いでは指揮官のリーダーシップが重要な役割を果たしたので、ロンメルなど両軍にリーダーが登場します(ただし特別なルールはなく、攻撃に参加すると「その他のユニット1個」にカウントされて攻撃値に+1するだけ)。

また史実同様、途中からドイツ空軍の支援が始まって、後半にはドイツ軍が巻き返せるようになっています。なお、選択ルールで両軍とも空爆マーカーを使用できるようになります。

勝利条件は突破による自動的勝利の達成(両軍)と、最終第7ターン終了時に連合軍プレイヤーが獲得している勝利点(VP)で判定する作戦的勝利の2つ。連合軍は特定エリアを支配することで毎ターンVPを得ることができ、またゲーム終了時の両軍のユニットの壊滅状況でVPが増減します。早期にVP対象エリアを支配すればそれだけ有利になりますが、無理をしてユニットを潰すようなことになると、VPを失うし、せっかく支配したVPエリアを守ることができない……という葛藤に連合軍プレイヤーは悩まされるでしょう。

新要素「モメンタム」の追加で混沌の度合いが強まる_e0355790_08402590.jpg最新のロンメル研究となる『「砂漠の狐」ロンメル』(大木毅/角川新書)にもこの戦いのことが触れられており、アラスにおける連合軍の反撃がいかにロンメルにとって衝撃だったのかが明らかにされています。その衝撃、ゲームで味わってみてはいかがでしょうか!?(連合軍のモメンタムがいつまでも切れなかった時とか、それはもうたいへんです)


# by petitslg | 2019-03-22 09:51 | ニュース
2019年 03月 19日

香港を守ろうとした英雄たち

香港を守ろうとした英雄たち_e0355790_23065624.jpg最近はキックスターター発のウォーゲーム出版が一般的になってきましたが本作もそのひとつ。テザイナーのデヴィッド・チェン氏が「どこも出版社が興味を持ってくれないならキックスターターにかける」と宣言して、その言葉通りのことを成し遂げました。

追憶栄光: 香港1941』のテーマは1941年の日本軍による香港攻略戦。91年にパシフィック・リム・パブリッシングから『オーナー・アローン』が出版されましたが、同作が香港島の戦いに焦点を当てていたのに対し、本作『追憶栄光』は九龍の戦いから始まります。史実では様々な偶然が重なって九龍があっさり陥落してしまいましたが、本作ではそうした意外性をカード=ドリブン・システムで表現しています。

日本軍は15枚、英軍は12枚の手札上限で、両プレイヤーは交互にアクション・フェイズを行います。連続パスでターン終了。日本軍は5枚、英軍は4枚のカードを補充できます。プレイヤーは自分のアクション・フェイズにアクション・カードを使ってフォーメイション(連隊)単位で活性化を行う、または適当なカードを使ってリーダーとその指揮範囲にいるユニットを活性化します。活性化したユニットは移動及び攻撃が可能です。

この他に戦闘支援カードがあり、戦闘解決時に自軍の戦闘を有利に修整してくれます。

日本軍のほうが手札に余裕があるため、より多く作戦できる、または支援を行えますが、例えば支援に集中すると行動量が減少することになるので、カードの使い方は非常に重要です。

またイベント・カードには香港の戦いを彩るエピソードが用意されています。例えば日本軍の奇襲攻撃。歩兵第228連隊の土井連隊長が責任外地域でうっかりしかけてしまった夜襲を表しており、地形効果を無効にします。しかしこのイベントが発動すると、英軍プレイヤーのイベント「日本軍司令部内の対立」が使用可能となり、日本軍の前進が停滞することに。また、多数のカナダ兵を助けた後に壮絶な最期を遂げたニューファンドランド犬「ガンダー軍曹」も登場します。

香港を守ろうとした英雄たち_e0355790_23140926.jpgゲームは九龍だけ、香港島だけのシナリオの他、キャンペーン、自由配置シナリオを楽しめます。日本軍としては速やかに九龍を制圧し、香港島に上陸しなければなりません。香港島には多数の砲台があるので、航空支援や砲撃でそれらを潰しておく必要もあるでしょう。一方の英軍はどれだけ遅滞できるかにかかっています。勝敗は得点で判定され、両軍とも敵ユニットの除去で得点でき、日本軍は特定スペースの占領で得点、英軍は目標スペースを毎ターン支配することで得点します。つまり目標スペースを守り続ければ英軍はどんどん得点できるので、日本軍には攻略を急がなければなりません。

強力だけれども時間的な制約が課せられる日本軍。部隊は貧弱だけれども敵のミスに乗じることで展開を有利にできる英軍。両軍とも自軍の特性を生かさなければ勝利できないつくりになっています。

かつて香港を守るために自らの生命を捧げた忘れ去られた英雄たちがいた──彼らのことを忘れないようにするために本作をつくったのだとデヴィッド・チェン氏は述べています。そこでルールの巻末には、1,000名を超える日本兵を相手に丸2日間、要衝北角を守り抜いた上流階級の紳士たちや、先述した「軍曹」の階級を持つニューファンドランド犬のエピソードが添えられています。

今の香港における複雑な状況に対する思いも、このゲームに込められていると感じるのは、うがち過ぎでしょうか。


# by petitslg | 2019-03-19 23:16 | ニュース
2019年 03月 16日

南北戦争中の鉄道経営ゲーム

南部鉄道』の日本語ルールブックが完成しています。

南北戦争中の鉄道経営ゲーム_e0355790_08350966.gifプレイヤーはアメリカ南北戦争中の南部連合における鉄道会社を運営して、貨物を運んでお金を稼ぐゲームです。基本的なゲーム・システムはシンプルで、プレイヤーは自分の番になったらプールからチットを引き、それが貨物だったら自分の路線で運ぶことにするか、それとも場に出して、代わりに既に場に出ている貨物を選んで運ぶかを決めます。

貨物には一般乗客もあれば兵士(これを引くと必ず運ばなければなりません)や大砲といった戦争遂行に欠かせないもの、牛肉や鉄といった食料や資材などがあります。それぞれにピックアップする駅と、ドロップオフする駅(目的地)が定められており、また輸送することで得られる運賃も決まっています。

もちろん、自分が所有する鉄道会社の路線だけで完結すればいいのですが、なかなかそういうわけにはいきません。目的地へ到達するには他人様の路線を利用しなければならないこともあるのです。その場合は、余分な移動コストを支払ってのろのろ運行する、または利用料を支払って通過させてもらう、のいずれかの選択肢があります。進入しようとする駅に他の列車があると、それだけ移動コストを支払わなければならないというルールがあるため、他人の列車が自分の路線を「ただ乗り」しようとしたら、運行していない列車で嫌がらせをする、なんてことも可能です。

戦争中には実現しませんでしたが、「通し運賃法」が可決すれば他人の路線を使っても利用料を支払わなくてもいいようになります。

貨物チットと一緒にイベント・チットもプールに入れます。これには、線路が駄目になったり、橋が崩落したり(多くが木製の上、整備不良で崩れたのだとか)、衝突事故が発生したり。自分の路線を使っている他人の列車が鉄を運んでいればそれを押収して(!)駄目になった鉄道を修理することも可能です。

南北戦争中の鉄道経営ゲーム_e0355790_09040132.jpg
こうしたイベントとともにやってくるのが北軍です。北軍の侵攻にともなって使える駅と路線が縮小していき、重要デポ全てを押さえられると戦争が終わってしまいます……「南軍の攻勢」やリー、ジャクソン、マクレラン将軍といった特別チットを使えば、北軍の侵攻を食い止めたり、北軍に占領された駅を取り返したりできますが、最終的に南部の敗北は避けられません。

戦争が終わるとゲームも終了。その時点で最もお金を持っている人が勝利します。殺伐としたヒストリカルな鉄道経営ゲームと言えるでしょうか。

南北戦争中の鉄道経営ゲーム_e0355790_09041320.jpg

なお、1942年のダーウィン空襲をテーマにしたミニゲームが収録されています。こちらのデザインはポール・ローボー。トランプを使って活性化する部隊を決めるのでソリティアでも気軽に楽しめます。選択ルールで〈ラングレー〉を登場させることも可能です。


# by petitslg | 2019-03-16 09:08 | ニュース
2019年 03月 16日

ミッドウェー海戦をキャンペーンで

ターニング・ポイント・シミュレーションズの『ミッドウェー海戦』の日本語ルールが完成しました。全11ページ(図表1ページを含む)。
ミッドウェー海戦をキャンペーンで_e0355790_07490014.jpg

ミッドウェー海戦には、序盤だけに焦点を当てたゲーム(日本軍は第一航空艦隊と支援隊=第七戦隊まで登場)と、アリューシャン作戦に参加したものを除く全てを含んだゲームとがあります。前者は『日本機動部隊』のミッドウェイ海戦シナリオであったり、先日発売された『ミッドウェイ海戦』であったりします。後者なら、懐かしのアバロン・ヒルの『ミッドウェイ』になるでしょうか。XTR/国際通信社の『ビクトリー・アット・ミッドウェイ』もそうです。そして本作も後者に属します。

後者は、日本軍プレイヤーにとって多くのオプションが発生します。わかりやすく言えば〈大和〉〈長門〉〈陸奥〉の第一戦隊を南雲機動部隊に合流させて濃密な防空網をつくることも(『ミッドウェイ』)、それらを囮に使って米空母に仕方なく攻撃させ(さもなくば、戦艦の主砲で島が焼き払われるのです)、そこを南雲機動部隊で叩く(『ビクトリー・アット・ミッドウェイ』)ことも可能です。個々のゲームにより様々な制約はあるもののプレイヤーの意思で戦力の分散という失策を防ぐことができるわけです。

前者は、その点はプレイヤーより立場が上の偉い人が決めたことだから戦力の分散投入は既定路線というスタンス。それでも打撃力は日本軍のほうが上なので、ゲーム・バランスで問題になることはありません。

さて本作では選択ルールを使用しない限り、日本軍の行動は自由であり、主力部隊の到着を待って第一航空艦隊が作戦を開始することも可能です。奇襲が起こる陰謀ルールもないので、日本軍プレイヤーは後知恵に感謝しつつ「自分が山本五十六で部下が思い通りに動いてくれれば何ができたのか」を試すことができます。
ミッドウェー海戦をキャンペーンで_e0355790_08114538.jpg
ゲーム・システムは作戦級の空母戦ゲームとしてはシンプルな部類で、索敵後に両軍が交互に艦隊を1つずつ活性化するというもの。艦隊の位置や編成は特に秘匿されるわけではなく、発見されているか否かを毎ターン判定します。その後、両軍は艦隊を1つずつ移動させ、その艦隊が空母であれば航空機を発進させて航空攻撃を行います。高速機動部隊なら1ターンに2回活性化が可能で、2回攻撃隊を送り出すこともできます。

ただし航空機は戦闘を行うと混乱し、あるいは損耗するので、常に2回目の活性化ができるとは限りません。また空中集合がうまくいくとは限らず、五月雨式の攻撃となって戦果があがらない、逆にCAPが疲労して攻撃の効率が良くなることもあります。

余談ですが、意外に水上戦ルールが細かいのが不思議だったのですが(煙幕展張ルールまである)、同じデザイナー(ポール・ローボー)によるマタパン岬海戦のゲームがシステムのベースになっているとのことでした。

ミッドウェー海戦をキャンペーンで_e0355790_08225819.jpg
本作最大の特徴はミッドウェー島への上陸を別ゲームとして行える点でしょう。通常のゲームで日本軍が上陸侵攻を行ったら地上戦ゲームをプレイして結果を反映します。または、この地上戦ゲーム単体でもプレイ可能です。

こちらはポール・ローボーお得意のトランプ=ドリブン・システム。トランプを引いて活性化する陣営とそのユニット数を決め、移動と戦闘を行います。戦闘解決もトランプを使用します。

3月現在、店頭に在庫がありませんが、ご入り用の方がいらっしゃればメーカーに発注いたしますので、お気軽にお問い合わせください。



# by petitslg | 2019-03-16 08:28 | ニュース
2018年 08月 10日

【Petit Wargame Shop】NEWS第78号: 新入荷&再入荷商品のお知らせ

小さなウォーゲーム屋★新入荷&再入荷商品のお知らせ
(http://petitslg.shop-pro.jp/)
2018年8月10日発行

Against the Odds誌の取り扱いを開始いたしました!!


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【あの方のうちわプレゼント・キャンペーン】

まだまだ暑い日が続きますね。
あまり暑いと作戦を考えるのも嫌になるものです。
そこで(?)プーチン・シリーズ最新作『Putin Moves South』も発売されたことですし(??)、
本日以降、当店で商品をお買い上げの方先着で

「あの方のうちわ」

をプレゼントいたします!!



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【新入荷のお知らせ】

本日22時より以下の商品の販売を開始いたします。


Against the Odds:


シリア軍の攻撃、イスラエル軍の怒濤の反撃、そしてキャンペーンの3つのシナリオを楽しめます。



有力な護衛を持っていながら、PQ-17船団はなぜ壊滅したのか?
1ユニット=1隻、または9-12機の航空機のスケールで、北極船団最悪の戦闘を再現します。


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【再入荷のお知らせ】

Revolution Gamesのブラインド・ソード・システム3作、再入荷いたしました。





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【日本語ルール完成のお知らせ】

以下の日本語ルールが完成しております。『アレシアの戦い』がたいへん面白そうです!!
既に商品をご購入いただいている方にはメールを差し上げていますが、不着の方は下の連絡先までご一報ください。




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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

https://secure.shop-pro.jp/?mode=mailmaga&shop_id=PA01321035


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【小さなウォーゲーム屋】
http://petitslg.shop-pro.jp/
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【BONSAI GAMES ONLINE】
http://bonsai.chips.jp/game/


# by petitslg | 2018-08-10 15:09 | ニュース