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2019年 07月 11日

通常兵器だけでは無理、あれ使おう、あれ『オペレーション・ピンシャー』

お久しぶりの更新です。そしてタイトルの圧倒的出落ち感。

『カウンターファクト』誌最新号から、『オペレーション・ピンシャー(OP)』を紹介したいと思います。
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【ゲームの背景】
1949年にスターリンが西側諸国に攻勢を行い、第三次世界大戦が勃発。主戦場は西ヨーロッパですが、本作は東南ヨーロッパ、並びに中東、北アフリカを舞台にしています。ゲームのタイトルは、想定されるソ連の攻勢に対し、ペンタゴンでシミュレートされた一連の防衛作戦に由来しています。本作も、同作戦に基づいた内容です。

支作戦ではありますが、ソ連軍には重要な目的があります。第一に、油田地帯を制圧すること。イギリス連邦の屋台骨を揺さぶることが狙いです。第二に、より重要なことですが、アメリカ軍にソ連本土を直撃できる基地を渡さないこと。この時点で核兵器(原爆)を使用できるのはアメリカだけなので、ソ連本土が爆撃機の航続距離に入らないよう、少なくとも主作戦を完遂するまでの間、中東、北アフリカの拠点を押さえる必要があります。

【ゲーム・システム】
ソ連軍を主力とする共産軍と、序盤はトルコ軍、イスラエル軍に頑張ってもらわなければならない連合軍が、互いにプレイヤー・ターンを繰り返すオーソドックスなもの。ZOCはありません。最初に航空優勢を決めてから、共産軍、連合軍の順番でプレイヤー・ターンを行います。

両軍がダイスを1個ずつ振り合って大きい目を出したプレイヤーが航空優勢を得て、ダイスの目の差が使用できる空軍力マーカーの数になります。航空優勢を決めた時点で空軍力マーカーをマップ上に配置し、配置されたヘクスとその隣接ヘクスが影響範囲となり、敵ユニットは進入時に+1 MPが必要となり、そこでの戦闘では航空優勢側が1シフト有利になります。シンプルですが非常にリーズナブルなルールです。

プレイヤー・ターンは移動フェイズに続いて戦闘フェイズ。その後、第2移動フェイズか第2戦闘フェイズのどちらかを行うというもの。第1戦闘フェイズの戦果が不十分だったからもう1回戦闘フェイズをしかけるか、それとも移動で敵を困難な状況に追い込むのか、プレイヤーに決断が要求されます。このシステムもシンプルですが、状況がはまると絶対面白くなるやつです。

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【ゲーム展開】
序盤は共産軍の怒濤の攻勢。カウンターシートを見ていただければおわかりの通り、赤い強面の方々が、灰色(トルコ軍)と水色(イスラエル軍)、緑色(アラブ連合軍)を蹂躙していきます。頼みのアメリカ軍(カウンターシート右上1/4ほどを占めるオリーブドラブの方々)は、連隊戦闘団単位で少しずつ投入されるので、有効な反撃戦力になるまで時間がかかります。

そこで連合軍、カウンターシート右下1/4を占める「マッシュルーム」に頼らなければなりません。原爆です。

OPでは原爆は作戦的な使われ方をして、連合軍プレイヤーは自軍プレイヤー・ターン中ならいつでもどこでも(共産軍が航空優勢を得た時は、空軍力マーカーの影響範囲は不可)原爆を投下できます。投下したヘクスはダイスの目1個マイナス1または2(地形による)のステップが吹き飛びます。吹き飛ばなくても原爆攻撃マーカーを置かれた敵ユニットに対する攻撃は右1シフトの修整がつきます。移動中に使って敵戦線に穴を開けることも、第2戦闘フェイズを行う代わりに敵スタックを屠り、第2移動フェイズを選択して戦線を突破、あるいは整理することも可能です。

しかし、原爆の使用はアメリカの威信を傷つけます。1ターンの間に使えば使うほど維新が低下する=共産軍にVPが与えられます。共産軍は30 VPを獲得すれば勝利でき、イスタンブールの10 VP獲得はまず間違いないでしょうから、残るは20 VP。原爆1発の投下によりアメリカが失う威信はダイスで判定されるため開きがありますが、平均2 VPだとすると10発落とせます──が、それでエルサレム(10 VP)やその他の都市(1-5 VP)、油田(3 VP)を守り切らなければなりません。1発で平均3ステップをロスさせれば合計30ステップ、ユニット15個が消滅します。ならば……。

と、戦況の推移をにらみながら、連合軍プレイヤーは原爆をどこでどれだけ使うのか、を大いに悩むことになるでしょう。また、通常兵力である米海兵隊の存在も忘れてはなりません。共産軍が後方を疎かにしていればチョーク・ポイントに上陸して前線部隊の補給線を断つ(朝鮮戦争のように)こともできるし、イスタンブール奪還作戦だって不可能ではありません。仮想戦だからこそ、歴史の呪縛にとらわれずに大胆な作戦を取ることができます。

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カバー・ストーリーはもちろんOPに関して。他にもインドの海軍戦略であったり、トルコとブルガリアが衝突する可能性であったり、興味深い記事が多数掲載されています。



by petitslg | 2019-07-11 10:04 | ゲーム紹介


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