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2019年 07月 17日

第二次・第三次長沙作戦を楽しめます『長沙作戦』

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表紙には「Second」と入っていますが、第二次長沙の戦い=第一次長沙作戦だけではありません。シナリオには第三次長沙の戦い=第二次長沙作戦も含まれています。

常徳作戦もそうですが、日本陸軍は中国の都市占領を目的とするのではなく(保持がたいへんなため)、都市を目指すことで中国軍部隊を誘引してこれを撃破、一時的な戦線の安定化を目的とする作戦を取りました。そのため、所期の目的を達成すると反転して攻勢発起点に戻ってきます。これをもって中国側は「日本軍を撃退した」と喧伝することになります(もっとも反転時、撃ち漏らして山間部に逃げ込んだ中国軍部隊による遊撃を受け、少なからぬ損害を出すこともあったようですが)。

長沙作戦もそれに該当しますが、見方を変えれば、長沙は多大な損害を出しつつも3度の日本軍の猛攻を退けた「英雄都市」になります。そりゃあドラマにもなるってもの。



【ゲーム・システム】
長沙作戦』はチット=ドリブン・システムをエンジンに据えています。ターン開始時に日本軍が使用できる航空支援マーカーの種類を決め、両軍の増援を登場させたら、チットを引いてフォーメイションを活性化します。

活性化したフォーメイションは、砲爆撃、移動、戦闘を行い、全てのフォーメイション・チットが引かれたらターン終了フェイズに移行して補給判定を行います。ここで判定された補給状態は次のターンの終了フェイズまで持続し、補給切れだと攻撃力、防御力、移動力が半減するので要注意。

砲爆撃は航空支援マーカー(日本軍)または砲撃支援マーカー(国府軍)を用いて敵ユニットの混乱を狙うもの。混乱したユニットは攻撃力、防御力、移動力が半減。補給切れと合わせると4分の1になります(!!)。日本軍には河川艦隊もあり、部隊を輸送できる他、河岸ヘクスにいる国府軍ユニットを砲撃できます。

移動、戦闘はオーソドックスなルールを用いており、EZOCの進入に余分に1移動力を消費する、EZOCからEZOCへの直接移動はできない、戦闘はオッズを計算して戦闘結果表で解決する(2ダイス)、戦闘結果はステップ・ロスと退却……というお馴染みのもの。

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ユニークなのは、チットを引かれなかったフォーメイションに属するユニットでも「非活動ユニット」として移動が認められること。EZOCには進入できないものの前進あるいは退却可能なので、国府軍はどんどん退却していくし、(戦線がなければ)日本軍はずいずい前進していく。日中戦争特有の現象がマップ上で再現されることになります。

補給切れ覚悟で国府軍が山間部にこもってゲリラ戦を展開する際にもこのシステムは有効に働きます。積極的な作戦は取れなくてもともかく前進はできる。日本軍の補給線が延びきったとこで山から下り、機を見て道路沿いの補給線を襲うことができるのです。

また、日本軍なら第11軍、国府軍なら第9戦区軍司令部の活性化マーカーを引けば、特別な増援が登場し、マップ上の全てのフォーメイションが活動可能になります。長沙にこもる敵を排除するのは複数フォーメイションによる総攻撃が必要になるでしょうから、いかに早くその態勢を整えられるかが、日本軍プレイヤーに求められることでしょう。

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カバー・ストーリーの戦況図を見ればおわかりのように、長沙作戦は大機動戦になります。機動戦の末の長沙をめぐる激戦。熱いです。

第二次/第三次長沙作戦シナリオの他、練習用の「大雲山の戦い」(第6師団が行った支作戦)も用意されており、ゲーム・システムに慣れてから本番に臨むことができます。

デザイナーのBill Xuanにとって(恐らく)これが初作品。台湾のウォーゲーム雑誌『戰棋』でゲーム・レビューなどを執筆されていた中国の方です。


# by petitslg | 2019-07-17 18:09 | ゲーム紹介
2019年 07月 11日

通常兵器だけでは無理、あれ使おう、あれ『オペレーション・ピンシャー』

お久しぶりの更新です。そしてタイトルの圧倒的出落ち感。

『カウンターファクト』誌最新号から、『オペレーション・ピンシャー(OP)』を紹介したいと思います。
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【ゲームの背景】
1949年にスターリンが西側諸国に攻勢を行い、第三次世界大戦が勃発。主戦場は西ヨーロッパですが、本作は東南ヨーロッパ、並びに中東、北アフリカを舞台にしています。ゲームのタイトルは、想定されるソ連の攻勢に対し、ペンタゴンでシミュレートされた一連の防衛作戦に由来しています。本作も、同作戦に基づいた内容です。

支作戦ではありますが、ソ連軍には重要な目的があります。第一に、油田地帯を制圧すること。イギリス連邦の屋台骨を揺さぶることが狙いです。第二に、より重要なことですが、アメリカ軍にソ連本土を直撃できる基地を渡さないこと。この時点で核兵器(原爆)を使用できるのはアメリカだけなので、ソ連本土が爆撃機の航続距離に入らないよう、少なくとも主作戦を完遂するまでの間、中東、北アフリカの拠点を押さえる必要があります。

【ゲーム・システム】
ソ連軍を主力とする共産軍と、序盤はトルコ軍、イスラエル軍に頑張ってもらわなければならない連合軍が、互いにプレイヤー・ターンを繰り返すオーソドックスなもの。ZOCはありません。最初に航空優勢を決めてから、共産軍、連合軍の順番でプレイヤー・ターンを行います。

両軍がダイスを1個ずつ振り合って大きい目を出したプレイヤーが航空優勢を得て、ダイスの目の差が使用できる空軍力マーカーの数になります。航空優勢を決めた時点で空軍力マーカーをマップ上に配置し、配置されたヘクスとその隣接ヘクスが影響範囲となり、敵ユニットは進入時に+1 MPが必要となり、そこでの戦闘では航空優勢側が1シフト有利になります。シンプルですが非常にリーズナブルなルールです。

プレイヤー・ターンは移動フェイズに続いて戦闘フェイズ。その後、第2移動フェイズか第2戦闘フェイズのどちらかを行うというもの。第1戦闘フェイズの戦果が不十分だったからもう1回戦闘フェイズをしかけるか、それとも移動で敵を困難な状況に追い込むのか、プレイヤーに決断が要求されます。このシステムもシンプルですが、状況がはまると絶対面白くなるやつです。

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【ゲーム展開】
序盤は共産軍の怒濤の攻勢。カウンターシートを見ていただければおわかりの通り、赤い強面の方々が、灰色(トルコ軍)と水色(イスラエル軍)、緑色(アラブ連合軍)を蹂躙していきます。頼みのアメリカ軍(カウンターシート右上1/4ほどを占めるオリーブドラブの方々)は、連隊戦闘団単位で少しずつ投入されるので、有効な反撃戦力になるまで時間がかかります。

そこで連合軍、カウンターシート右下1/4を占める「マッシュルーム」に頼らなければなりません。原爆です。

OPでは原爆は作戦的な使われ方をして、連合軍プレイヤーは自軍プレイヤー・ターン中ならいつでもどこでも(共産軍が航空優勢を得た時は、空軍力マーカーの影響範囲は不可)原爆を投下できます。投下したヘクスはダイスの目1個マイナス1または2(地形による)のステップが吹き飛びます。吹き飛ばなくても原爆攻撃マーカーを置かれた敵ユニットに対する攻撃は右1シフトの修整がつきます。移動中に使って敵戦線に穴を開けることも、第2戦闘フェイズを行う代わりに敵スタックを屠り、第2移動フェイズを選択して戦線を突破、あるいは整理することも可能です。

しかし、原爆の使用はアメリカの威信を傷つけます。1ターンの間に使えば使うほど維新が低下する=共産軍にVPが与えられます。共産軍は30 VPを獲得すれば勝利でき、イスタンブールの10 VP獲得はまず間違いないでしょうから、残るは20 VP。原爆1発の投下によりアメリカが失う威信はダイスで判定されるため開きがありますが、平均2 VPだとすると10発落とせます──が、それでエルサレム(10 VP)やその他の都市(1-5 VP)、油田(3 VP)を守り切らなければなりません。1発で平均3ステップをロスさせれば合計30ステップ、ユニット15個が消滅します。ならば……。

と、戦況の推移をにらみながら、連合軍プレイヤーは原爆をどこでどれだけ使うのか、を大いに悩むことになるでしょう。また、通常兵力である米海兵隊の存在も忘れてはなりません。共産軍が後方を疎かにしていればチョーク・ポイントに上陸して前線部隊の補給線を断つ(朝鮮戦争のように)こともできるし、イスタンブール奪還作戦だって不可能ではありません。仮想戦だからこそ、歴史の呪縛にとらわれずに大胆な作戦を取ることができます。

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カバー・ストーリーはもちろんOPに関して。他にもインドの海軍戦略であったり、トルコとブルガリアが衝突する可能性であったり、興味深い記事が多数掲載されています。



# by petitslg | 2019-07-11 10:04 | ゲーム紹介
2019年 05月 11日

ポーランド生まれの作戦級ゲーム『アルデンヌ1944-45』『ワルシャワ1944』

e0355790_09044057.jpg現在、わかっている範囲で活動中のポーランドのウォーゲーム・パブリッシャーは2社ありまして、その1社がTaktyka i Strategia(戦術と戦略)。「B35」と呼ばれる1943-45年の第二次世界大戦の地上戦(中隊-大隊/2,000m/8-24時間というスケール)を再現する共通システムを用いて90年代にゲームをデザインしていたWojciech Zalewski氏が2000年代に立ち上げたメーカーで、ボックス入りゲームと雑誌を発行しています。

B35システムはその後、発展を続けて現在は実質的に「WB95」(Great Battles 1939-1945)にアップデートされています(と思われるのですが、現在事実関係を確認しているところです)。

アルデンヌ1944-45』と『ワルシャワ1944』はともにWB95をエンジンとしています。前者の初版発行は2005年、後者は2007年ですが、近年コンポーネントを一新して再版されました。

WB95システムとは?

WB95システムは、いわゆるI-GO-U-GOのオーソドックスな構成。航空作戦を行い、先攻の移動、戦闘、戦略移動、補給確認を行い、再び航空作戦を行ってから後攻が移動、戦闘、戦略移動、補給確認を行います。原文に従って「戦略移動」にしていますが、実際は「予備移動」で、自軍移動フェイズに移動せず、自軍戦闘フェイズに戦闘しなかったユニットが、戦略移動フェイズの開始時に敵ZOCにいなければ、移動力マイナス2で移動できるというもの。ただし敵ZOCには進入できません。戦闘後前進が控えめなこのゲームでは、突破にはこの戦略移動が欠かせないことになります。

各プレイヤー・ターン開始時に航空作戦フェイズがあることからもわかるように、航空部隊の運用が重視されています。航空戦力はユニットで表されており、各航空ユニットは地上戦の支援、航空攻撃、移動妨害(興味深いことに、このシステムではソ連軍に対してのみ可能)、渡河妨害などの任務を行えます。両軍の航空ユニットが隣接ヘクスに配置されると空中戦が発生し、敗れた側は任務を行えないことになります。そのため両軍が地上戦を支援しようとすると空中戦は必至で、空中戦の結果が地上戦に大きな影響を与えることもあります。

また、戦場の女王「砲兵」の役割にも焦点が当てられています。砲兵は単独で砲撃することも地上戦支援に用いることも可能で、シナリオで許可されている場合は移動前に弾幕射撃を行い、敵戦線を粉砕することが可能です。これにより、弾幕射撃による突破後、戦闘によって第2線に穴を開け、戦略移動でさらに突破するという東部戦線の地獄絵図がマップ上に再現されることになります。前述した通り、戦略移動では移動力が2低下するため、その役目を負うのは戦車ということになるでしょう。となれば、突出してきた戦車を潰して戦線の安定化を図るのもまた戦車の役目です。

戦術的な要素も

戦車ユニットには戦闘修整を示す星印が印刷されており、星1つにつき戦闘比を1シフト修整します(最大で3シフト修整可能)。この星には種類が4つあり、色で区別されます。黒色は普通の戦車で要塞攻撃以外なら使用可能、防御でも有効です。しかし白色の星に無効化されます。その白色の星は対戦車砲(自走を含む)で、原則的に防御時に有効で、黒色と黄色の星を無効にします。黄色の星は突撃砲など固定砲の支援戦闘車両を表し、要塞を含む全ての攻撃に使用可能。ただし黒色と白色の星に無効化されます。最強が青色の星で全ての戦闘で使用できる上、無効化されることはありません。

航空作戦、砲撃、AFVの役割の違い……これらにデザイナーのこだわりが強く感じられます。こだわりと言えば各ゲームに複数のシナリオが用意されていることもそうで、『アルデンヌ1944-45』なら4本、『ワルシャワ1944』なら3本もシナリオが用意されています。シナリオは開始日時の違いだけなので、マップ上にユニットを並べることで戦闘経過を眺めることができます。

e0355790_09404012.jpg『アルデンヌ1944-45』は説明不要でしょう。タイトルに「45」が入っていることからおわかりのように、ラインの守り作戦の開始から作戦終了の45年1月までプレイできます。『ワルシャワ1944』は、ワルシャワ蜂起だけではなく、バグラチオン作戦の最終ステージから開始するのがポイント。ソ連第2戦車軍、第8親衛軍、ポーランド第1軍がワルシャワを攻撃する可能性を作戦レベルで検証可能です。もしポーランド国内軍の蜂起に合わせてソ連軍がヴィスワ川を渡っていたら……。

ワルシャワ蜂起から始まる8月1日シナリオでは、なんとハンガリー第2軍団がポーランド国内軍とともにドイツと戦う可能性があります(2d6で2が出れば、ですが。12が出るとゲームから退場します)。

Taktyka i Strategia社からは間もなくエリア=インパルス・システムの『Uprising 1944』がリリースされますので、本作と合わせてポーランド人デザイナーが制作したワルシャワ蜂起に向き合ってみたいと思います。

余談ですが

Taktyka i Strategia社のボックス入りゲーム、たいへん美麗なコンポーネントで箱もしっかりしているのですが、個体差なのか蓋と身がぴっちりしすぎて開けるのが大変でした。また駒のカッティングの関係で、盛大に台紙から脱落していました。

補給切れマーカーなど、汎用マーカーを一部厚紙から切り出す必要があるので、他のゲームなどから流用すると面倒がないでしょう。


# by petitslg | 2019-05-11 09:52
2019年 05月 11日

あの映画のあのシーンをゲームで再現しようぜ『タンゴ・ダウン』

e0355790_08191848.jpgタンゴ・ダウン』は映画のクライマックスなどでお馴染みの建物掃討作戦をテーマにした対戦ゲームです。ユニット1個は1人の兵員を表し、建物にこもる側とそれを制圧しようとする側に分かれて戦います。拠点に隠れている反乱分子を一掃しようとする特殊部隊、あるいは罠にかかった特殊部隊が敵の包囲を突破して脱出する、といったシチュエイションが再現されます。10あるシナリオの中にはスーパー・ヒーロー vs ヴィランもあり(!!)、本作の柔軟性がうかがえます。

ターン・シーケンスは、

1. イニシアティブ判定
2. カード・ドロー
3. 先攻ユニットのアクション
4. 後攻ユニットのアクション(2へ戻る)
5. ターン終了

というもので、カード・デッキ内にある2枚の「ターン終了」カードが引かれると、そこで1回のターンが終了するというもの。いつターンが終わるのか両プレイヤーとも予測がつかないわけですが、平均して1ターンに8回のアクションは可能です。

各ユニットは1ターンに2回のアクション(またはリアクション)が可能で、自分がアクションする手番では、アクション可能なユニットがいる限りはパスはできません。射撃、半分の移動力で移動、ポップアップ射撃(コーナーからひょいと身をさらして射撃してまたコーナーの陰に引きこもる)、制圧射撃(狙いをつけずに乱射)などが可能です。

これに対してリアクションとは、敵が視線内に移動してきた時に行える対応移動または機会射撃のこと。テロリストがいる部屋の中に特殊部隊が突入すると、そのテロリストが逃げ出したり、あるいは応戦したりといった状況をイメージしてください。

部屋に突入して逃げられたり先に撃たれたりするのは嫌だ? そんな時にはグレネード。グレネードはコーナーにいれば視線が通じない場所に投擲可能で(自分は身をさらさずにひょいっとグレネードを角の向こうに放るわけです)、通路の先、あるいは室内を攻撃できます。ただし、というかこれが本作の美点でありますが、「移動」「射撃」以外の特殊なアクションは全てカードによって表されます。グレネードも同様。手元にグレネードのカードがなければどんなにチャンスであっても投擲できません。もっとも自分がグレネードのカードを持っているかいないのか、相手は知る由もないので、ブラフを使って相手を邪魔な場所から追い出すことも可能なのです。
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戦闘解決はシンプルで、基本的に2d6して目標までの距離以上が出ればヒット。障害物やスキルなど様々な修整が加算されます。また目標のタフネスによってヒットが軽傷なのか、それとも重傷なのかが変化します。軽傷だとアクション1を消費したことになり、重傷ならステップ・ロス。表面は共通のレーティングでも、ステップ・ロスすると脚に来るのか(移動力が低下)、上半身にダメージが来るのか(スキルが低下)ランダムになっています。いいですね、こういう処理。

シナリオは前述した通り全部で10本。建物制圧作戦の他、脱出、起爆装置の解除(間に合わなければどかん)、人質救出など状況設定がバラエティに富んでおります。またポイント制のフリー・シナリオも用意されており、自作も容易。デザイナーズ・ノートにも書かれていましたが、確かにインターネットで検索すると、ビン・ラディンの邸宅の見取り図が簡単に入手できるので、『ゼロ・ダーク・サーティ』シナリオもつくれそうです。最近だと(映画としては何でしたが)『蜘蛛の巣を払う女』のクライマックスも本作で再現できそうです。その場合はスナイパー・カードは建物の窓際だけではなく、建物内のどこにいる敵に対しても使用できることにして……。

5月11日現在品切れでご迷惑をおかけしていますが、『Rifles in the Pacific』とともに再入荷予定ですので、今しばらくお待ちください。


# by petitslg | 2019-05-11 08:53 | ゲーム紹介
2019年 04月 24日

安定のレッドラ・システム『第6艦隊』

e0355790_08044366.jpg「レッドラ」とは『レッド・ドラゴン・ライジング(RDR)』(2008年)のこと。「米中もし戦わば」をテーマとしたRDRでは、要素が多く、ルールが煩雑になりがちな陸海空の立体作戦を、原則として「1手番に1作戦を行い、それを両プレイヤーが交互に繰り返していく」というシンプリフィケーションが行われています。できることが「作戦」として行動が規定されているのがポイント。交互に作戦が行われるので、リアクション・ルールも必要ありません。それに1手番で1作戦しか行えないため、展開がもっさりしているな、と感じているようでは実はこのシステムの術中にはまっており、それは結局のところ長期的な視点を欠いているということでもあるのです。ランダム性の強い運ゲーに見えて、勝利するためのシナリオを事前に考えておく必要がある、奥が深いゲーム・システムです(そして運に任せて何となくプレイしても面白いのが美点です)。

RDRのデザイナーはブルース・コステロ氏ですが、ジョセフ・ミランダ氏がレッドラ・システムを使って次々に派生作品を発表しています。第二次世界大戦ものでは『ノルウェイ1940』と『サウス・シーズ・キャンペーン』など。そして起こらなかった第三次世界大戦ものとして『第6艦隊』がリリースされました。

設定としては70年代または80年代にワルシャワ・パクト(WP)がNATOに攻め込むというもので、ゲームの舞台は地中海東部と黒海。マルタ、クレタ、キプロスをめぐって第6艦隊と黒海艦隊が激突します。

レッドラからの変更点

e0355790_08215656.jpgゲーム・システムのベースはRDRですが、多少の変更が加えられています。

例えば空母。RDRでは艦載機の能力は空母のレーティングに含まれていましたが、『第6艦隊』では対潜ヘリコプターを除いて別ユニットになっています。これにより艦載機運用の妙を楽しめるだけではなく、70年代と80年代の艦載機の違い、戦闘機/攻撃機の役割分隊から多用途機運用というドクトリンの変化などを感じられるようになりました。

RDRの地上戦は島嶼に限られていましたが、本作ではソビエト機械化軍団がトルコに攻め込めるようになっており、イスタンブル、そしてダーダネルス海峡支配も夢ではありません。

シナリオは70年代と80年代の2つが用意されており、全体的な設定はどちらも同じですが、使用できるユニットに違いが生じます。また、what-if?を楽しめるオプション・ユニットが用意されており、ソビエト軍にはクレムリン級原子力空母が、アメリカ軍には原子力打撃巡洋艦が用意されています。サービスしすぎだろうと思いますが、トルコ海軍には巡洋戦艦〈ヤウズ〉もあり、恐らくダーダネルス海峡の浮き砲台として活躍して(的になって)くれることでしょう。

仮想戦ですし、設定年代もRDRに近いということで、第三次世界大戦の海戦ゲームがこれから順次レッドラ・システムでリリースされるかもしれませんね。


# by petitslg | 2019-04-24 08:45 | ニュース